家庭内アンサンブル推進委員会
竹から楽器へ
「人形は顔が命」・「ケーナは音程が命」でも、私はちょっとやりすぎです。

ただの竹が、少しずつ楽器に変身してゆきます。穴を開けるのは簡単ですが、チューニングは難しい作業ですね。図面はとりあえず大失敗しないためのもの、開けただけでは演奏には使えません。
音程は作ってしばらくは上がってゆきますので、若干低めにしておけば後悔しなさそうです。
・マスキングテープを管の真ん中に真っ直ぐ貼り付けます。きちっと計測して、テープの真ん中に線を引きます。

・穴を開ける位置を正確に測りマークします。
・ボール盤で穴をあけます。ハンドドリルではよく割れました、切り口も甘い感じでした。ボール盤にしてからは、失敗はほとんどなくなりました。私のケーナ製作には必須アイテムになっています。

・管尻の穴はハンドドリルで開けます。怪我のないように気をつけましょう。
穴あけにドリルを使わないで、焼き鏝で穴を開ける方法もあります。興味のある方は、「気楽にケーナ作り」で道具や方法を教えてもらえます。
・歌口を削るために、ヤスリを導く切り込みをのこぎりで入れておきます。

・切り口にヤスリをのせて、テープの中心からずれないように半丸やすりを入れます。。

・このくらい削ったら、ストップ。
・ヤスリを裏返して、同じように削ります。。
・するとこんな形の大雑把な歌口ができます。
・これでは小さすぎるので、三角錐のヤスリで表の形だけ広げます。まだ仮歌口なので大雑把です。
テープを剥がすと、だいたいケーナのようなものができています。この時点では、お土産用のケーナと同じようなレベルの音が出ます。穴を開けるときに、一番下の穴は、少し小さめに開けています。

この穴が大きいと、2オクターブめのラが低くくなってしまいます。高いようなら、大きくできますが、その逆はできません。下のシから上の音が合ってから、2オクターブめのラと1オクターブめのラの高さを一番したの穴の大きさで調整します。1オクターブめのラは息の量で音程をかなり調整できますので、どちらかというと2オクターブめのラを中心に調整します。

最後に下のソの音を管尻の穴で調整するのが、よいような気がします。穴が小さいとシラソがこもった音になりますし、大きいと3オクターブが出ずらくなります。最初の穴の位置が大切になります。

この時点では、チューナーで20セント程度低くしておきます。

すべての穴に、ヤスリを入れ摩擦で穴を焦がします。(ちば竹さんに教えていただきました)高い音は強めにヤスリを入れ下の穴を広げます。回転やすりで調整すると、穴は楕円になります。きれいな丸の穴にしたい場合は回転ヤスリを使わないほうがよいと思います。。
・相対的なチューニングができたら、ヤスリで穴を整えます。この時、穴の内側を若干削ります。

・ドリルであいた穴の内側にバリが立っていますので、もう一度ガリ棒を入れて滑らかにします。
・下のソの音は管尻の穴の大きさで調整します。2回ドリルを入れると穴がずれてしまうので、リマーで大雑把に穴を広げてから、丸やすりできれいにします。(スラリンパパさんのHPで勉強しました)

水分を完全に抜くこと、竹の表面を硬くすることを目的に、コンロで焼きます。焦がさないように回しながら炙ってゆきます。かなり熱くなりますので、乾いたタオルで持ちます。
平泉成さん出演のテレビで教わりました)

私ケーナの全長を5mmほど長く取っています。焼き入れで音程が上がっても問題は出ません。このため、音を聞いて、もっと芯のある音が欲しいときに焼入れをします。普通は、穴を開ける前の段階で焼きいれをしておきます。私は、焼きいれをしないほうがよい音になる場合が多いようです。


十分に冷ましてから、最後のチューニングを行います。この時高すぎるようでしたら、失敗です。低いようなら、歌口の部分を少し削ります。指穴は、先ほどのヤスリよりもテーパーの弱い仕上げ用のものを使い、穴の奥まで真っ直ぐに削ります。。

ここで、何曲か吹き、音程のおかしなところを直します。ケーナの調整にはチューニングメーターはあまり使いません。ひとつひとつの音を数セント単位で直していっても、曲を吹くと半音近くずれていたりすることがありました。自分の耳を信じて、相対的な音程を合わせるのが、一番実用的な気がします。チューナーは最後のチェックに使います。
・相対的なスケールが正しくなっていれば、後は歌口を正確な高さに調整すれば、全体が正しい音階に落ち着きます。少しずつ長さを詰めて、歌口を削り直します。

・チューニングが合うまで少しずつ繰り返し作業を進めます。歌口削りと平行して、曲を吹きながら、全体のチューニングも何度も確認します。この時にはピアノの伴奏で吹くと、おかしなところが一番よくわかります。最終的に442Hz−20sent以内に収めます。

ケーナは、音程を調整して吹くことができる楽器です。うまい奏者が吹くと、かなりいいかげんな楽器でも正確な音程で演奏できます。その逆に、うまい奏者が吹いて正確な音程の楽器は、初心者の方ではかなりずれて発音されるでしょう。また、音程が不安定な楽器でもあります。同じ人が吹いても日々音程が違います。

自分が感じられない音程のズレを、チューナーの針をにらんで調整することはあまり意味がないかもしれません。自分が吹いておかしく感じない楽器なら、それは、いまの自分には十分な性能があるということだと思っています。

ですから、あまり凝りすぎずおおらかに作ることをお勧めします。プロ用ケーナでも何も考えないで吹くと、そうとういい加減です。焼き鏝で穴を開ける方法ですと、調整もなにもなしでいきなり出来上がりです。それでも、ちゃんと曲が吹けるのですから安心してください。


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