倍音に関係するものに、楽器の材質が上げられます。弦楽器などでは、古くよく乾燥したものほど厚い倍音が出ます。このため、楽器の販売するときにその楽器の倍音の出方をオシロスコープのような機器でプリントアウトして、響きの良さの証明書のようなものを作っている楽器屋さんもあります。

ケーナでは、木製の高価なものよりも竹などの軽い材質が好まれます。硬い材質を使ったときの反応の良さや、芯のある音よりも、竹の暖かい厚みのある音質の魅力が勝っているためではないでしょうか。

でも、同じ楽器でも吹く人によって違う音が出るのはなぜでしょうか?

ケーナの倍音を出す仕組みから考えてみました。。

ケーナでドの音を出している場合です。
歌口に息を当てることにより、右手の人差し指の穴より上の管の中で、空気の柱が振動します。それと同時に2倍音がその長さの半分の振動をし、3倍音がさらにその半分の長さというように、おまけの和音が振動を同時に始めます。(右図1)

この時に、流れる息のスピードが速くなれば倍音成分が増えてきます。さらに息のスピードを上げるとオーバーブローして基音が消え2倍音が突然大きくなりオクターブ上がります。(右図2)

これが、同じ指使いでドの音のオクターブ上がった状態です。さらに息のスピードを上げると、2倍音も消えて3オクターブ目の領域に入ります。

オーバーブロー寸前のスピードで吹くのが、最も倍音成分の強い音が出るということではないでしょうか。でも、ただ強く吹くだけでは、大きな音にはなっても、暖かい厚みのある音にはなりませんよね。
 

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私は音響の専門家ではありません。倍音についての解釈は管楽器奏者としての感覚とお考えください。間違っているところがありましたら、教えていただければ幸いです。
図1 ケーナのドの倍音成分可聴域外まで倍音成分が伸びています
図2 息の圧力を上げた場合
基音が消え二倍音の成分が大きくなっているのがわかります
ケーナの倍音の様子を実際にご覧になりたい方は、私の演奏をWimdows Media Playerを使って聞いてください。左下に小さく電子レンジのような形をしたマークがあります。それをクリックすると「視覚エフェクト」「バーとウエイブ」「大火災」を選択するとしたの図に似たものを見ることができます。