オクターブを上げる時に、上手な奏者は息の量をほとんど変えずに上げます。初心者の方は強いタンギングと強い息を入れてあげます。これはオーバーブローの方法が違うからです。

初心者の方は、たくさんの息を強く入れることでオーバーブローさせますが、上手になると、息の量を変えずにスピードを上げることでオーバーブローさせます。具体的にいうと、唇の隙間を絞り息の圧力を高めるのです。

オーバーブローは極端な例ですが、普通に音を出す場合でも、少ない息のスピードを上げて、息すべて音に変える吹き方をしていると、倍音成分の多い音になります。反対にたくさんの息を遅いスピードで入れていると雑音の多い、基音のめだったぺらぺらな音に聞こえます。


右の図は、口笛のスペクトラムですが、倍音成分がほとんどありません。口笛が厚みのない音に聞こえるのはこのためです。

私も含めた上手でない奏者は、息を絞るのが下手なので大きな音でしか吹けません。息を絞る練習をすることで、少なく早い息で倍音成分の多い音を出すことができるようになります。
息の効率がもっと上がると、スピードを維持しながらさらに息の量を減らせるので、こんどは倍音成分が少ないピアニシモの音になります。

本当に上手な方のケーナの高音が、軽やかに聞こえるのはこのためではないでしょうか。

ケーナを練習するときの目標は、管全体が共振しているような倍音成分の多い厚みのある音。
次に、倍音の少ないさわやかな音を目指すかどうかは、奏者がどんな音を求めるかによって違ってきそうです。
 

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私は音響の専門家ではありません。倍音についての解釈は管楽器奏者としての感覚とお考えください。間違っているところがありましたら、教えていただければ幸いです。
口笛のスペクトラム
ケーナのスペクトラム