エアリード楽器の発音をカルマン渦で説明することに疑問を感じて夜も眠れませんでしたが、(^-^ ) 実は20年以上前に発表されていることでした。

日本人の研究者が、”パイプオルガンの発音メカニズム”という文献を1980年に発表しています。(参照1)
これは、最初に管の中に定在波があり、外から流れ込んできた息が、その波にフードバックを与えさらに陰圧と陽圧を大きくするというものです。

この説明なら、管楽器奏者としても納得できます。ひとつだけひっかかるのが、最初から定在波が管内あることを前提にしている点です。そこで、私なりに噛み砕いてこの文献を理解してみました。

流体が管の中を流れると、接線応力が発生します。。その大きさは変形速度で決まります。この性質を粘性と言います。速度のない状態では、気体は抵抗なしに変形しますが、流体速度が上がると、変形しずらくなるということです。早い速度でぶつかった空気は、歌口にぶつかることでさらに速度を上げ粘度を上げます。

内側から外側に向かって流れる空気は、圧力を上げられ粘度が上がることで周りの空気を巻き込んで外に出ます。内側の空気まで連れ出すので管内の圧力は下がります。

すると、下がった圧力により空気の流れは内側に導かれます。今度は内側の圧力が上がり空気は外に導かれます。この連続した運動が振動になります。振動とは、空気密度の変化ですから、管の中の空気をその長さに応じて共振させる固有振動を起こします

つまり、管の内側と外側に空気の流れは変化し、管の長さに応じた定在波と同じ周期で最も動きやすくなるので、息の早さが少し変わっても同じ周波数で振動を続けます。

流速が上がると、基音の振動ではそれを逃がしきれなります。振動は基音のn倍も、発生しやすいので次に2倍音にシフトし、基音の倍の速さで振動するようになる。これが、ケーナのオクターブの跳躍です。

エアリード楽器は管楽器の最も原始的な形ですが、その発生原理が解明されたのは、わずか20年ほど前なのですね。この文献のおかげで私はぐっすり眠ることができるようになりました。吉川先生 さねよし先生本当にありがとうございます。

参照文献 S.yoshikawa J.saneyoshi "Feedback excitation mechanizum in organ pipes"Journal AcoustSoc Japan 1,175-191 1980
 
return home
この後、流れは管内の陰圧に引かれ、下向きに変化します。
尺八の作り方」というHPに管内の空気の密度変化を見せてくれるすばらしいJAVAがあります。振動が空気の密度の濃淡であること、オクターブの変化がどのようにおきるかが、とてもよくわかります。ぜひ訪問してみてください。