音楽の教育を受けていない方が、無伴奏で歌を歌うとリズムがものすごく変化します。もちろんこれは悪いことではなく、気持ちよく歌えることが一番です。
問題になってくるのは、これを人に聞いてもらうときです。歌っている以外の方にはとても苦痛になります。
聞いている方がまだ音がでないと思っているのに音が出る。その逆で、出ると思ったところに全然入ってこないといった、小さなイライラが積み重なるからではないでしょうか。
両者の最小公約数は、メトロノームのとおりに正確にリズムを刻むことです。これなら、聞き手が何人いても文句を言う人はいません。
でも、すべてを譜面通りに正確にリズムを刻んだのでは味気ないコンピューターの演奏のようになってしまいます。そこで、演奏者は聞き手の予想を裏切らない範囲でリズムを揺らします。
よく、器楽演奏には「歌う」という言葉を使い、感情を込めた演奏を目指します。完璧に正確なリズムでは「歌う」ことは難しいと思います。
正確なリズムからのずれは、あくまで全体が正確なリズムで進行しての話ですから、すべて自分の好きなように吹いていては、聞き手に共感を与えることはできません。
ケーナの世界では、南米のプロの奏者でもメトロノームを使っての練習はしていないと思います。これは練習しなくても正確なリズムが体に入っている才能のある方だからです。私のレベルでは、何年吹いてもメトロノームは必要です。
そんな堅苦しい練習はいやですよね。でも、自分以外の人にケーナで感情を伝えることができやすくなるんですよ。ちょっと試してみませんか?