倍音には材質も関係しています。どんな材質がよい倍音を出せるのでしょう?

ヴァイオリンなどの弦楽器では、スプールスという木材を30年も寝かせた比重が軽いものがよい響きを出すようです。管楽器のクラリネットは比重の重いグラナディアという硬い木を使います。安物は軽く、高価なものほど重くなります。フルートは銀・金・プラチナといった高価な材質ほどよい音にならしい。

同じメーカーで管体の設計が同じでも、材質によって吹き込む力が違います。プラスチックのクラリネットはスカスカですし、グラナディアでも密度が高いもののほうが抵抗が強くなります。サックスはネックを銀に変えただけで、鳴らすのにものすごく圧力がいるようになります。理論的にはありえないことですが、事実です。楽器の発音の仕組みは実はわからないことだらけのようです。

でも、木管楽器は比重の高い木材や金属ほど高級でプロ用という傾向はあります。ということはケーナもそうなのでしょうか?

ケーナにも黒檀や牛骨を使った重いものがありますが、たしかに芯のある密度の高い音がしますね。それではもっと重い素材を使えばもっとよい音が・・・・

と思い、鉄の水道管でケーナを作ってみました。
結果は、大失敗。ぺらぺらの厚みのない音・・・。

では軽いほうがいいのかな?

比重の軽い素材というと、私が知っている限りでは、金名竹という珍しい竹が一番密度が低いようです。この竹で作ったケーナはまろやかな音質で、すーっと高音がでて理想的な材質だと思いました。
欠点は息の抵抗が少なすぎるため、演奏の充実感にやや欠けるの。音量が低いことです。

梱包材料の発砲ウレタンの筒で作ると、高音は出ない、反応は悪い、音は聞こえないほど小さい。いいことなしでした。

やはり、定番の女竹かボリビアのカーニャ材がよいようです。カーニャ材は女竹より若干軽い素材で、軽くそして密度の高い音がだせます。

重すぎも軽すぎも、行き過ぎは良い結果を生みせんね。どんなことでも、ほどほどがよいようです。

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