音階というのはドレミファソラシドのことです。あたりまえに思っているこの音の階段にも歴史があります。

最初の音階はピタゴラスの発見したピタゴラス音階です。全五度の幅のある音が、快適な和音になることを利用し8つの全音階を決めました。ところが3度6度の和音がきれいに響かないため衰退してきました。

その後和声の発達とともに、いくつかの音階が考案されたようですが、現在は平均率音階が使われています。
(※1)

平均律はオクターブの間の周波数差を単純に12に均等割りしたものです。このため、完全な和音にはならない部分もありますが、すべての音で演奏に耐えられる和音を作ることができます。なぜ11や13でなく12音なのかについては、どなたも説明されていません。私はNOISEの倍音のところに書いたように、倍音成分の心地よく感じるかさなりを求めていったので12になったのだと思います。

これにより、すべての隣り合う音の周波数の差は同じになります。ドとド♯ ド♯とレ レとレ♯ レ♯とミ ミとファ 全部同じ間隔と言い換えることもできます。

ケーナはひとつの穴で二つの音を出します。一番上の穴はミとミ♯、二つ目はレとレ♯です。もし、これをやめて、ひとつの穴でひとつの音しか出さないとすれば、一番上のソの穴から同じ間隔で、同じ大きさの穴が12個開くはずです。

このように考えると、ケーナの穴の配列と大きさが理解できます。裏の穴はファ♯からソに半音上げる穴なので小さく。上の3つは半音2つを出すために大きくほぼ等間隔になっています。4つめの穴は半音一個の担当なので小さくなっています。そして、3番目の穴から4番目の穴までの距離は、ほかと比べて離れているように見えますがなぜでしょう。

右の写真は、ケーナとバロックフルートをならべたものです。バロックフルートは上から4つまでの穴は、等間隔になっているのが分かります。これは、半音を穴の半開で出さずに運指で出すからです。これに対しケーナは半開で出すため穴が大きくなります。大きくなると音が上がるので、その分上にずれていったのです。

穴より下の部分が長いのは、フルートの管尻はただの筒だからです。穴の位置や大きさひとつにも、音楽の歴史ひそんでいるんです。


※1 参照 響きの考古学 音楽の友社 藤枝守
return home
モンターニャ製ケーナと
バロックフルート