管楽器は腹式です。ヨガや空手の呼吸法では、息を吸うときにお腹を引っ込める逆腹式呼吸法があります。たぶん、これは息を吸うことで横隔膜を下げ、さらに腹を引っ込めると腹腔の容積が最小になります。すると、内蔵が圧迫され血流が悪くなる。その逆をすると、一気に血流が良くなる。これを繰り返すと、肩を揉んでいるようなもので、内臓の血流が増え健康によくなるのでしょう。おもしろいですね。

その他にも、エンドルフィンやセロトニン、β波に気脈などなど、真偽のつかない説が山盛りであります。

腹式呼吸を英訳するとAbdominal respirationですが、これを管楽器の指導に使うことばではないそうです。「管楽器は腹式呼吸」は日本だけの話しなんですね。(確認はしていませんが・・)たしかに動くのは腹ではなく、肋骨の下からへそまでの間ですから、ミゾオチです。正しくはミゾオチ呼吸と言えばいいんでしょうか。

管楽器をはじめたころは、腹式と胸式での音の違いは分かりませんでした。しばらくすると、あまりの違いにビックリします。音量や音の奥行きが、胸式ではどうしても出ません。それまでは、難しい曲をスムーズに吹けるのが上手な奏者と思っていたのですが、よい音を出せる奏者が上手な奏者と思うようになりました。

ところが、いくら練習しても先生と同じ音は出ません。その悩みは今でも変わりませんが、その過程で出てきたイメージを聞いてください。

1 息を吸うときは:横隔膜の真ん中からヘソにチューブがつながっていて、へその穴から空気を吸い出す。そうすると、肋骨の下が広がってくる。・・・ようなイメージで。

2 息を吐く時は:胃袋を上に上げて横隔膜を押し上げる。すると、肋骨の下が狭くなってくる。・・・ようなイメージで。

3 ケーナのエッジに当たっている空気の密度と、肺の一番下の空気の密度は同じ。肺・気管支・口腔内は全部同じ圧力。それが、唇の狭い空間でやや圧力を増している。・・・イメージで。

4 肺を空間として、体も楽器の一部。ケーナが震えれば体も共鳴している。・・・イメージで。
(※1)

私のイメージは、あまり他の人の役にはたちませんね。そこで、おすすめの腹式呼吸確認方法です。

体の横に手を当てて、肋骨の一番下の骨に指先を押し当てます。息を吸うと、そこが広がるのが分かるはずです。そこからさらに肋骨を広げるように、思い切り息を吸って、一番大きく広がった時の吸い方が腹式の吸い方です。横隔膜がどんな形になっているかイメージしてみてください。

息を吐くときは、唇をすぼめて抵抗をつけてゆっくりと安定させて吐いてください。この抵抗が呼吸に関連する筋肉を鍛えます。この時も横隔膜がどんな形で上に上がってゆくかイメージしてください。

「腹式呼吸とは?」でフラスコ状の気管と肺が大切と書きましたが、これにも理由があります。気管だけの共鳴は気柱共鳴ですが、十分に膨らんだ肺は、空洞共鳴となり長い音波の共鳴ができます。
(※2)

歌口の振動がケーナの内部で気柱共鳴します、その振動に対応し、気管と肺で作れらた空間が共鳴し厚みのある倍音を作ることができるようになります。共鳴は固有の振動に対してだけ反応しますので、出す音や、イメージする音質に応じて口腔の形や気管の体積を変えてあげる必要があります。

管楽器はのどを開いて吹いて」とその昔先輩に教わりましたが。私は「肺をできるだけ膨らませて、気管と口腔の容積をその時々に変化させる」の方がより適正なの気がします。、

腹式呼吸は、息の圧力を高める。そして、音の質を変える。この二つの意味を持っている、というイメージを持っています。

またイメージばかりになってしまいました。これはuchi式で一般的なものではありません。普通の練習方法が知りたい方は、まじめなレッスンサイトをごらんください。私もそちらの方法をお勧めします。
(^-^ )  
(※3)


 
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(※3)
クラリネット奏者十亀正司の東京交響楽団の休日
 リンクをたどってください。クラリネットのいろいろ:呼吸法と姿勢 に写真付きで練習方法があります。これは間違いありません。
あまりにおもしろいのでつい全部のリンクを開いてしまうすごいHP 
肺にはふいごとしての役割と、空洞共鳴体としての役割ももちます。
まずPerformance of quenaで私の演奏をお聞きになり、どの程度の奏者のアドバイスかご確認ください。
(※2)
Web科学工作館:この中の、「釜鳴りの真実」:に共鳴についての記述があります。そのほかにもたくさんの家で出来る実験や工作がのっています。
(※1)
共鳴:物体固有の振動を、外から与えると、その物体自身も振動は始める現象 音叉の実験が有名