ケーナ製作記録
02/19/05                              試聴 
ケーナを作る人が見れば、必ず驚いていただける、玄人向けケーナ。ケーナは内径を保持したまま全長を短くしてゆくと2オクターブめがどんどん上がってきます。それを利用してオクターブで全音ずらしてしまいました。モンターニャさんとの話しでひらめきました。

普通のチューニングでは、絶対に音程は合いません。ひとつひとつの音程を少しずつずらし、妥協しながら、全体にはおかしくないところまで調整してゆきます。それでも合わないところは、息と運指であわせます。一曲吹きましたので、ぜひ試聴してみてください。全部の穴をふさぐと下はソですが、上はラになります。

クラリネットなどの閉管楽器は、オーバーブローすると3倍の振動数に跳躍しますので。同じ指使いで2音上がります。開管楽器のケーナで1音上げるというのは、音響学的にはなかなか理解できません。なぜかについて、少し考察します。

管長は、 管長+X={(2n-1)/4}*音波長 で表されます。Xは開口端補正値と呼ばれ、ある音を出すためには、計算で示された管長よりもXの値分だけ長くしなければなりません。これは、開口部周辺の空気が管内に影響を与えるために発生するとされています。管楽器の場合、高い音ほど息の流れが速くなるのでその影響が大きくなるようです。

内径を細くすると下の音の息の速度も上がってしまうため、内径は普通のケーナと同じ18mmのままで、歌口から指穴を近くしXの値を変化させやすいようにしました。息で調整しなければならないので、歌口は浅くメリカリがしやすくしました。

だれにでも吹けるものではありませんが、この大きさならば背広のポケットに入ります。どこにでも持ち運べるプチケーナの出来上がりです。
02/11/05                              試聴 
ちば竹さんに、竹の皮を剥ぐナイフを教えていただいたので、さっそく試してみました。全体写真では分かりませんが、北欧の白木家具のようなきれいなケーナになりました。下の写真のほうが色合いが分かります。色のバランスを考え、指穴の焼き焦がしはほんの少しアクセント程度にとどめ、巻き紐もケーナから浮かないように山吹色にしました。管尻の処理もていねいにしたので、脈管がきれいに出てきました。

すばらしくよいできで、2オクターブはほぼ完全に調律できました.。うれしい。
02/06/05                              試聴 
今回は、軽い竹材のため音量を確保するために指穴を大きくすることにしました。このため、指穴の間隔を狭める設計です。竹の模様を生かすために、薄く皮を剥いで仕上げのヤスリのみの処理にしました。軽やかな音がでますが、穴を大きくしたためか、3オクターブめがややかすれます。これはこれでよい味なのですが、最初の意図と違うためにやや不満が残ります。

大きな音のでない材料を設計でカバーするのは間違えかもしれません。その竹のもつ短所を直すのではなく長所を伸ばすほうがいいようです。

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