ケーナ製作記録
07/23/05  

新型のケーナが、とりあえず成功したので、今週はちょっと趣向を変えて木製ケーナを作りました。
モンターニャさんが木製に挑戦中とお聞きしたこと。GOZOのGATTさんのHPで紹介されているケーナがとても魅力的だったためです。

ヴィオレッタというきれいなパープルの木です。指穴の位置も大きさもスタンダードなものにしました。

ヴィオレッタは、ヴェルディーの歌劇「椿姫」に登場する、女性の名前です。田舎から都会に出てきたお金持ちのアルフレットが恋をしたのが、ヴィオレッタという美女です。最後には恋人の腕の中で病に倒れるという悲しい物語です。でも、この木は「不幸の影を背負った病弱な美女」というイメージではありません。「派手で丈夫な関西系美女」という感じです。たぶん紫色だからビオレッタなのでしょうが、なにかドラマがありそうな名前で、ちょっとかっこいい。それから、ヴァイオリンの原型となったのもヴィオレッタという名前の弦楽器です。繊細できれいな音がでそうな名前でもあります。

木の硬さは、グラナディアや黒檀ほど硬くありませんが、普通の木よりはだいぶ硬いといったところです。ナイフやヤスリも使えますので、特殊な工具は必要なさそうです。

木製の音質は竹よりも元気があります。ここが好みの分かれるところだと思います。繊細な音質という点では、竹のほうが優れているようです。明日はG♭管に挑戦します。

07/24/05                          
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今日はG♭管を作り、G管といっしょに仕上げをしました。カシューか、しみこむタイプのニスを考えたのですが、磨きだけでやめにしておきました。調を間違えないように、派手な色のワックスコードを巻きました。

G♭を作ったのは、カラオケ対応です。GとG♭があればたいがいの曲に対応できます。また、G管よりも半音低いだけなのに、高音がやたらと簡単に出ます。これは、竹でも木でも同じです。一番上の穴を歌口から離すことができるからかもしれません。初心者の方はG♭で練習したら上手くなるのでは?ふしぎですね。

この写真の歌口は、尺八を意識してほんの少しだけ削りました。高音は出しやすいのですが、低音がいまひとつ・・結局普通の形に削り直しました。

 
09/18/05
                   

渋い外観、クールな高音 がテーマ

ひさしぶりの竹ケーナです。私の得意な太さは18〜20mm。今回は16mmと極細ケーナに挑戦です。グルーポゆいのおまつさんが、細いケーナをメインにしていると教えていただいたから。それから、川辺晃吉さんの完璧な音程のケーナが再現したいと思ったからです。

16mmは、指穴の位置がまったく違います。そこで、16mmの水道管でいろいろと試行錯誤しました。内径は完全な直管になるように、測定を繰り返しながら少しずつ削ります。指穴は1mm程度小さくなり、穴の間隔は広がります。竹皮を剥き、茶色になるまよく焼きました。指穴を開けたあとに、さらに焼を入れ、指穴を黒く焦がしました。焼きゴテで作ったように見えませんか?

高音が簡単にきれいに出ます。オクターブのずれもほとんどなく、いい感じ。太い管で必死に高い音を出すより、細い管で楽に出すほうが音楽は作りやすいですね。いい音だなぁ・・このままこの太さでいこうかな。


09/19/05

クールな外観 がテーマ

前回と同じ太さの竹で作りました。写真で見ると下が狭いようですが、内径は上も下も同じになっています。こうすると、設計図通りにつくることができます。

きれいに直管に加工すると、オクターブの狂いが少ないとか、後から直さなくてすむ以外にも、3シよりも上がスルリと出るような気がします。3シを出す他の要素は、指穴の内側の削り方、裏穴の位置でしょうか。最近のケーナでは、あまり失敗なく3シを出すことができるようになりました。


竹のケーナは、削ったり穴を開けたりという作業がとても楽しい。作るほどに上達してゆく感じもたまりません。今回は、まったく同じ竹で二本作りました。仕上げによって、これだけ違った外観になるんです。音も違います。ケーナ作りって面白いですね。

焼きいれした竹としていない竹の吹き比べをしてみました。今回は、神竹さんのご要望によりMP3に直録です。吹いているときは、焼入れなしのほうがやさしい音がするのですが、録音すると焼きいれしたほうがよい音に聞こえます。不思議ですね。
09/23/05

牛骨歌口付き木管の試作品を、ひとつ。
ジョイントにして、シ♭キーを付けてみました。あとは、ド♯キーを付ければ、ケーナとしてはクロマチックといっていいのではないでしょうか。今までは竹にシ♭キーをねじ込んでいたため、強度や割れの心配がありましたが、木管ならば大丈夫。その代わり、タップを使いネジの溝を切る手間が増えました。

ジョイントは、今まではステンレスやアルミの管を使っていましたが、管の厚みがあるためその分本体を削らなければなりません。これにより、管の強度が落ちてしまいました。今回は真鍮の薄い管を探してきました。さらに、コルクをアイロンをかけ薄く延ばし、ジョイント部分の強度の低下を防いでいます。

3オクターブめももしっかりと出ます。

キーはとても便利です。音の切れがいいし、トリルもできます。

ジョイントは便利な反面失うものもあるようです。ジョイントがないほうが響きは豊かなようです。やはり、コルクという柔らかい材質が響きをスポイルしているのか?それともジョイントの位置により、振動が打ち消し合ってしまうのか?ただ、その違いは吹いている人にしかわからない程度のものです。

一番困るのは、レミファ♯のオクターブが上がってしまうことです。ジョイント加工の前は合っていたのに、不思議です。内径は木管が18mm、真鍮管が19mm、わずか1mm違うだけで、こんなに違うものでしょうか。これから考えても、内径加工の大切さが分かります。


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