音楽の起源を長い間考えてきたのにはわけがあります。どんな音が一番人を感動させるかを知りたかったのです。よい演奏をするためには、なにがよい演奏かを知ることから始まります。。

人を感動させる音、和音の起源が、原始人の遠吠えである、というのは私だけの勝手な意見です。でも、この主張にはかなり自信があります。音楽の感動が、脳の電気的な興奮であったり、内分泌の刺激であれば、その原因は、子孫を残す本能などの、原始的な部分に関係するはずです。(※1)

健康で力強い気道、気管支を持った固体の発する遠吠えを、人は心地よく感じるようにプログラムされている。この、遠吠え説を前提にすると、魅力的な音の本質が分かります。

一番の近道は、そのまま人の声です。
CDの売り上げのほとんどは人の歌声ですよね。どんなすばらしい楽器の演奏も、人の声にはかないません。ですから、歌の才能のある方がこの世でもっとも幸せな音楽家です。魅力的な声でない・おんち・音域が狭い人は、楽器という選択肢をとることになります。。

それでは、声に迫るのはどんな楽器でしょう。音域と、倍音が声に近いものですね。気道の長さは16cm程度その位置での太さは20mm前後、ですから、管楽器でその長さの部分が、同じような太さであれば最も魅力的に聞こえるはずです。

ということで、西洋楽器ならクラリネット。民族楽器ならケーナと、偶然にも私が長い間付き合ってきた楽器がその条件にピッタリです(^▽^)/。実は、声帯と同じダブルリードのオーボエもいい線いっているのですが、若干管が細いので、僅差でケーナの勝ち。(^▽^)/。与太話のようですが私は結構気に入っている話なんです。「最もすばらしい音の楽器は、ケーナです」

この話の中で、人の声が最も魅力的な楽器というのは、共感を得られるのではないでしょうか。私は、ケーナを吹くときには、人の声をライバルと考えて吹きます。

オーケストラでソロがつまらない演奏だと、「もっと歌って」と注意されます。歌ってと簡単にいいますが、楽器を吹きながら歌を歌うことはできません。その注意には、音の入り、おわり、響き、ヴィブラート、抑揚、リズム、をもっと考えろ。と山のような課題が含まれているわけです。

上手な歌手は、意識しなくても山のような課題を解決しながら歌っているから上手なんですね。管楽器で人の声に負けないように歌うには、どうしたらいいか?、これは私の音楽の基本になっています。






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※1 サイト内関連
noise 音楽の起源2 和音と旋律
遠吠えというのは、その生物の大きさや力強さを示すために、のどを開け複式呼吸で呼吸器全体を共鳴させて出すメッセージです。より大きく、強い呼吸器をもった個体ほどエネルギーの大きな、倍音の豊富な音を出すことができます。

豊かな倍音は、強い個体の証明です。このため、強い倍音の元にいることは、安心してそのテリトリーを占有できるという証になったのではないでしょうか。
人間の遠吠えスペクトラム
家で一人で遠吠えをして、測定しました。かなりの変わり者。
狼も、きちっと喉を開けて遠吠えします。管楽器も同じ、振動元の前後の空間はなるべく広げて、共鳴する部分はコントロールする必要があります。