ケーナの音程調整のために、歌口をジョイント式で作ってみました。旋盤が使えないため、工具選びに苦労しましたが、なんとか出来上がりました。(コレ

とてもとても便利です。温度や吹く人に関係なく音程が合うというのは、とても快適なものです。これから作るケーナは全部これでいこうかなぁとも思うくらいです。そして、HPに公開したとたんにたくさんの方からメールでお問い合わせがきました。こんなことは初めてです。みなさん困っていたんですね。

・はたして、歌口ジョイントケーナはケーナ界の主流になるのでしょうか。

現在の加工方法ですと問題がいくつかあります。一番は温度変化です。アルミやステンレスといった変化に強い素材と、すぐに膨張収縮する竹と密着させればいつかひびが入りそうです。

・改善策を他の楽器に求めてみましょう

バロックフリュートでは、ホゾ穴を大きくあけ、ジョイントをユルユリルに作ります。凸部分にシルクの糸を巻き隙間を埋めます。この糸を季節や湿度によって、巻いたり、はずしたりして密閉性と強度を調整します。

尺八では、アルミ管の代わりに竹の筒を使っています。凹側の竹の外側には、ステンレス製の筒を押し込み、割れを防いでいます。(※1)

クラリネットは凸側にコルクを巻き、密閉性を確保しています。

どの方法も、一長一短です。ケーナの問題は、加工する竹が細くて、肉厚が薄いということ。ホゾに何かを巻いて緩衝材にすると、その分竹の厚みが減り強度が落ちそうです。ホゾをアルミ管でなく、尺八のように竹で作る方法が一番よさそうですが、真円の竹ホゾを作る技術と工具が必要です。でも、あまり凝りすぎず、緩んだらセロテープをちょっと貼り付け、きつくなったら外すくらいのいい加減なほうが、良さそうな気もします。

話しは飛びますが・・

ヴァイオリンの糸巻きが、なぜギターのような機械式でないか知っていますか?
機械式のほうが、細かい調整ができて、軽く弦を巻けます。でも、そのために重くなり楽器のバランスが壊れます。そして、金属と木を固定するために長年使うとメンテナンスが難しくなるからだそうです。音質の面からも、弦とボデーの間に金属が入らないほうがよく響くようです。

コントラバスのような大きな楽器では、あまり影響がないので、便利な機械式に変わっています。

ケーナを楽器として考えれば、音程は調整できて当然ですから、ジョイントはどうしても必要な機構です。でも、ケーナを民族楽器として考えるなら、大きく形を変えるべきでないかもしれません。ヴァイオリンの糸巻きのように、機能のメリットよりもデメリットが上回った場合もなくなってゆくでしょう。ケーナのジョイントは、これからどのような評価を受けてゆくのでしょう。少数派のままなのか、主流になってゆくのでしょうか。

 
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※1 尺八の作り方

尺八の作り方、尺八の販売修理、製作法の本販売を行っているHP。ケーナ作りにもとても参考になります。