ケーナ製作の最初の一歩は、よいケーナのコピーからです。これは、どんな製作者でも同じスタートだと思います。私はモンターニャさんのケーナのコピーから始めました。モンターニャさんも有名なプレイヤーのケーナのコピーから始めたそうです。

ところがコピー元ケーナの製作者との吹き方が違えばケーナの設計が変わってきます。穴の位置や大きさをいじりながら自分に最適なものを作ろうとします。

ところが、作るたびに少しずつ不満が出ます。ある場所を直すと、他が連動してくるってしまうのです。

その穴がなぜそこにあるのか?それを知らないでコピーしているから応用が利かないのでは?・・・と急に思いつき、つらい道を選んでしまいました。(TwT。)

穴の位置と大きさ、を計算で出そう。そのための基礎データーも取ろう!やる気満々で3ヶ月。結果(※1)は残念なものでした。なぜ失敗したかまとめてみました。

・データーの質
塩ビ管は同じコンディションですが、なぜか安定した周波数になりません。今とってすぐに取り直してもかなり違う音程になります。何度もやっていると、温度が変わりさらにわからなくなります。これは、人間が吹いていてはだめだな、と思いました。

オクターブ比はさらにひどく、ピッタリ合わせようと思えばできるし、20セント以上ずらすことも吹き方ひとつです。基準のプレッシャーが決められない。管楽器一筋30年!続けてきたロングトーンの練習はいったいなんだったのでしょう。

・計算式
いちばん単純な内径を一定にした場合の管長の計算だけでもまとまりません。ジョイント式のケーナをずらしながらデータを取りますが、ずらすとジョイント部分の体積が変わり、計算式にない変数が入ります。
また、周波数の計算式自体が、補正地が入っており、この補正値に関してはなんの説明もありません。

補正値は固定でなく変化することが分かりましたが、変化は直線的でなく、セルごとに関連ない数字が並びます。

直管でも理解不能なのに、テーパー管はさらに理解不可能です。どんな関数も組めませんでした。(※2)

3ヶ月で山のような穴開き塩ビ管と、山のような意味のないなデーターできました。それらしき計算式を作り、ケーナを作ってみると、計算とはなんの関係もない音程で鳴ってくれます。

・今回の成果
今の私のケーナの設計図はコピーでなく、自分で作ったものです。プライドは少々満たされました。音程の傾向はつかめました。そして、以前よりも音程のよいケーナができました。ただ、大きく改善したのかというと、「ほんの少し」です。

・これからの課題
今回の失敗は、未熟なプロトコールにあります。手探りをしながら、データーだけをためても意味がありません。知りたいことを決めてから、それを解明するための手順を組むべきでした。例とすれば、裏穴の位置の意味は、それひとつだけの実験を組み、他の要素は入れてはいけなかったのです。いつかは、効果的なプロトコールを作りたいと思います。





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※1 サイト内関連
How to make a quena
    測定サマリー・ ケーナの設計
作成されたケーナ ・ケーナ製作記録

※2 今回分かったことのひとつに、管楽器の設計に関しては、分かっていることは少ないということです。ヤマハの社内資料にはすごい計算式や、データーがあるのでしょうか、絶対に公開されなさそうです。

リファレンスとしていた、西洋楽器もかなり音程があやしいことが分かりました。プロ用のClaやSaxも、けしてフラットではありません。